入社初日は、社員にとって不安と期待が入り混じる一日です。この日に何を伝えるかで、その後の定着に差が出ます。
新しく社員が入社する日。
会社にとっては、新しい仲間を迎える大切な日です。
一方で、本人にとっては、とても緊張する日です。
どんな人がいるのか。
仕事についていけるのか。
社長はどんな人なのか。
自分はこの会社でやっていけるのか。
入社初日は、期待もありますが、不安も大きいものです。
ところが、中小企業では入社初日の対応がその場任せになっていることがあります。
朝、簡単に挨拶をして、すぐ現場へ。
必要な書類だけ渡して、あとは先輩に任せる。
忙しくて、会社の説明を十分にできない。
これでは、社員は不安を抱えたまま仕事を始めることになります。
定着する会社は、入社初日に伝えることを大切にしています。
まず伝えるべきは、会社の考え方です。
どんなお客様に喜ばれたいのか。
仕事で何を大切にしているのか。
社員にどんな働き方を期待しているのか。
これは、社長の言葉で伝えるのが一番です。
会社案内や就業規則を渡すだけでは、想いは伝わりません。
社長自身が、自分の言葉で話すことで、新入社員は会社の方向性を感じることができます。
次に伝えるべきは、働くうえでの基本ルールです。
勤務時間。
休憩時間。
休日。
遅刻や欠勤の連絡方法。
残業の考え方。
有給休暇の取り方。
報告や相談の方法。
これらは、入社後すぐに必要になる情報です。
「分からなければ聞いて」ではなく、最初にきちんと説明する。
それだけで、新入社員の不安は減ります。
三つ目は、最初の目標です。
入社してすぐに、すべてを完璧にできる人はいません。
だからこそ、最初の1週間、1か月、3か月で何を目指すのかを伝えることが大切です。
「まずはこの仕事の流れを覚えてください」
「1か月後には、この作業を一人でできるようになってほしい」
「3か月後には、お客様対応の一部を任せたい」
このように伝えると、本人も安心して努力できます。
四つ目は、相談先です。
困ったときに誰に聞けばよいのか。
仕事のことは誰に聞くのか。
勤務や休みに関することは誰に相談するのか。
人間関係で困ったときはどうすればよいのか。
これが分かっていないと、新入社員は一人で抱え込みます。
特に入社直後は、「こんなことを聞いてよいのか」と遠慮します。
だからこそ、会社側から相談先を明確にしておくことが大切です。
五つ目は、歓迎の気持ちです。
当たり前のようですが、これはとても大事です。
「入社してくれてありがとう」
「一緒に働けることを楽しみにしています」
「最初は分からないことがあって当然です」
このような言葉があるだけで、新入社員の安心感は大きく変わります。
人は、自分が歓迎されていると感じると、前向きに働きやすくなります。
入社初日は、会社の第一印象を決める日です。
その印象は、長く残ります。
定着する会社は、入社初日を単なる手続きの日にしていません。
会社の考え方を伝え、不安を減らし、安心して働き始められる日にしています。
入社初日の対応を整えることは、難しいことではありません。
伝えることを決め、資料を用意し、社長が少し時間を取る。
それだけで、社員の受け止め方は変わります。
採用した人に長く働いてもらうためには、入社後の最初の一日を大切にすることです。
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櫻井邦博