社長の頑張りで会社を回し続けていませんか。人が増えてきた会社ほど、社長一人に判断が集まる状態を見直す時期が来ています。
会社が成長してくると、社長の仕事はどんどん増えていきます。
営業、資金繰り、採用、教育、現場の確認、取引先との交渉。
さらに、従業員同士の人間関係や、残業、休み、給与の相談まで、気がつけばすべて社長のところに集まってくる。
「自分が見ていないと会社が回らない」
「社員に任せたいけれど、任せきれない」
「結局、最後は自分が判断するしかない」
このような状態になっている会社は少なくありません。
特に、従業員が5人、10人、20人と増えてくる時期は要注意です。創業時のように、社長の目が全員に届くうちは、多少ルールが曖昧でも何とかなります。社長が直接声をかけ、直接注意し、直接判断できるからです。
しかし、人が増えるとそうはいきません。
社長がすべてを見て、すべてを判断するやり方には限界があります。社長の時間は一日24時間しかありません。社長の体も一つです。どれだけ能力が高くても、全部を抱え続けることはできません。
そして、社長ばかりが忙しい会社では、次のような問題が起きやすくなります。
まず、判断が社長待ちになります。
現場で少し困ったことがあるたびに、「社長に確認します」となります。すると、仕事のスピードが落ちます。社員も自分で考える力が育ちにくくなります。
次に、社員ごとに対応がバラバラになります。
ある人には認めたことを、別の人には認めない。前は許したのに、今回は注意する。このようなことが続くと、社員は不公平感を持ちます。
不公平感は、職場の空気を悪くします。
「なぜあの人だけ?」
「どうせ社長の気分で決まるんでしょ」
こう感じる社員が増えると、会社への信頼が少しずつ下がっていきます。
さらに、社長自身も疲れていきます。
本来、社長が考えるべきことは、会社の未来です。どんなお客様に喜ばれたいのか。どんな人に集まってほしいのか。どんな会社に育てたいのか。そこに時間を使うべきです。
ところが、日々の細かな判断やトラブル対応に追われると、未来を考える時間がなくなります。
これが、社長ばかりが忙しい会社の一番大きな問題です。
では、どうすればよいのでしょうか。
大切なのは、社長の頭の中にある判断基準を、会社の仕組みに変えていくことです。
たとえば、勤務時間、休み方、残業の考え方、評価の基準、注意の仕方、採用時に伝えること。これらを一つひとつ整理していくと、社員が迷わず動けるようになります。
これは、社長の権限を手放すという意味ではありません。
むしろ逆です。社長の考えを会社に浸透させるために、言葉にし、ルールにし、運用できる形にしていくのです。
その中心になるのが、就業規則です。
就業規則は、単なる法律上の書類ではありません。会社が大切にしている考え方を、働くルールとして見える形にするものです。
社長がすべてを抱えなくても、社員が安心して働ける。
社員が迷ったときに、立ち返る基準がある。
問題が起きたときに、感情ではなくルールに沿って対応できる。
そのような会社は、社長一人の頑張りに頼らずに成長していきます。
社長が忙しいこと自体が悪いのではありません。
問題は、社長しか判断できないことが増え続けていることです。
もし今、社長が現場の細かな判断に追われているなら、それは会社の仕組みを見直す時期かもしれません。
櫻井邦博社会保険労務士事務所では、社長の考えを整理し、就業規則や人事の仕組みに落とし込むお手伝いをしています。
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櫻井邦博