就業規則を、法律上の書類だけで終わらせていませんか。実は、会社の考え方を社員に伝え、社長と会社を守る大切な設計図になります。
就業規則と聞くと、少し堅苦しい印象を持つ社長も多いかもしれません。
「法律で必要だから作るもの」
「従業員に権利を主張されるためのもの」
「会社を縛るもの」
このように感じている方もいらっしゃいます。
しかし、私は就業規則をそのようには考えていません。
就業規則は、会社を縛るものではありません。
会社を守り、社員が安心して働くための設計図です。
家を建てるときには、設計図が必要です。柱をどこに立てるのか。部屋をどう配置するのか。水回りをどこにするのか。何となくの感覚だけで家を建てれば、あとで不具合が出ます。
会社も同じです。
人を雇い、働いてもらう以上、そこには必ずルールが必要です。
勤務時間はどうするのか。
休みはどう取るのか。
残業は誰が判断するのか。
給与はどのように決めるのか。
何をすれば評価されるのか。
どのような行動は注意の対象になるのか。
これらが曖昧なままだと、会社はその場その場の判断で動くことになります。
最初のうちは、それでも何とかなるかもしれません。人数が少なく、社長が全員の顔を見て判断できるうちは、大きな問題にならないこともあります。
しかし、従業員が増えると、曖昧さは必ず問題になります。
たとえば、遅刻が続く社員がいたとします。
ある日は注意し、別の日は忙しくて見逃す。Aさんには厳しく言ったのに、Bさんには言わなかった。そうなると、社員は不公平を感じます。
会社としては悪気がなくても、社員から見ると「人によって扱いが違う」と見えてしまいます。
また、残業についても同じです。
誰が残業を命じるのか。勝手に残った時間はどう扱うのか。事前申請が必要なのか。こうした決まりがないと、あとからトラブルになりやすくなります。
ここで大切なのは、就業規則を「会社に都合のよい決まり」にすることではありません。
会社の考え方を明確にし、社員にも分かる形にすることです。
社員は、ルールがあるから窮屈になるのではありません。むしろ、納得できるルールがあることで安心します。
何を大切にすればよいのか。
どこまでが認められるのか。
どのような働き方を期待されているのか。
これが分かると、社員は迷わず動けます。
一方で、会社も守られます。
問題が起きたときに、社長の感情だけで判断するのではなく、あらかじめ決めたルールに沿って対応できます。
これは、社長を守ることにもつながります。
中小企業では、社長が社員との距離が近い分、注意や指導が感情的に受け取られやすいことがあります。
「社長に嫌われている」
「自分だけ厳しくされている」
こうした受け止め方をされると、職場の関係が悪くなります。
しかし、就業規則や会社のルールが整っていれば、話し合いの土台ができます。
「会社として、このように決めています」
「全員に同じ基準で運用しています」
このように伝えることができます。
就業規則は、作って終わりではありません。
大切なのは、社長の考えと会社の実態に合っていること。そして、実際に運用できることです。
どこかから持ってきたひな形を少し直しただけの就業規則では、会社を守る力は弱くなります。
その会社が何を大切にしているのか。
どんな社員に育ってほしいのか。
どんな職場をつくりたいのか。
こうした社長の想いを反映してこそ、就業規則は会社の未来設計図になります。
櫻井邦博社会保険労務士事務所では、単に書類を作るのではなく、社長の想いを聞きながら、実際に使える就業規則づくりを大切にしています。
自社の就業規則が、今の会社に合っているか。
社員に伝わる内容になっているか。
一度、見直してみることをおすすめします。
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櫻井邦博